パルプンテ

何を書くか自分でもわかんないので・・・一旦マネジメントとかマーケティングとか。ネタがあるうちは。

部下の動機を形成するのはモチベーション?インセンティブ?

仕事における成果を左右する「動機」

 
マネジメントにおいて、部下に高いパフォーマンスを発揮させたり、意欲的に仕事に向かわせるために重要になるのが「動機」だ。筆者の経験上、人が高いパフォーマンスを発揮する背景にはこの「動機」が作用していることが多い。
 
例えば、能力的に見てもそんなに目立つところが無い部下が、突然信じられない成果を発揮することがある。何が要因なのかを見てみると、確かにそれまでとは違うアクションを実行していたりする。
「よし!ではみんなでそれを習って同じことをすれば全員のパフォーマンスが上がるぞ!」と行動を真似してやってみるものの他の、他のメンバーのパフォーマンスが期待通りに上がることはほとんどない。
 
何度もこの現象を目の当たりにし、何故なのかを考え続けた結果、同じことをやっていても成果が出るか出ないかを分けるのは「動機」なのではないかという解にたどり着いた。
 
 
つまり、”今まで以上に頑張る・成果にコミットする・がむしゃらにやりきる・品質にこだわる”事に対する「明確な理由」が動機だ。同じことをやっていても動機があるかないかで、アクションの質と量に大きな差が出ることが成果の差になる。
 
実際にマネジメントにおいて意識的に動機付けを取り入れた結果、動機には2種類あり、それぞれをどのように扱うべきなのかを学んだので、そのナレッジを共有したい。
 
・動機付けに利用しない方が良い要素・・・インセンティブ
・動機付けに利用するべき要素・・・モチベーション
 
 

動機付けに利用しない方が良い要素・・・インセンティブ

 

  • 地位(役職)
  • 作業条件     
 

・インセンティブは「なければ不満を産むもの」

これらは”衛生要因”といい、無いと不満を産むものではあるが、「やりがいになる要素」としてはあまり向かない。
 

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これらは手に入れようとしている一時は確かに強い動機となる場合もある。そして中にはこれらに異常に執着する人もいるが、多くの場合これらは「無いと不満を産むもの」であり、得られたからといってさらに頑張れるかというと、そうでない場合が多い。逆に手に入れると、何かをするたびにインセンティブが無ければ動かない、またはそれまでの意欲はなくなり手に入れたものを守る(固執)ために健全な行動ができなくなる場合もある。そして一度手に入れると失ったときのモチベーションの低下が激しい。
 
仮に自分の給料が3万あがっても、同期の給料が5万上がっていれば不満を持つことがある。
社員全員が部長になることは不可能だし、希望とは異なる部署に配属されないことはよくある。
 

・インセンティブは一時的、かつ逆効果

また、手に入れたと思っていても厳密には全て会社のものなので、自分のものにはならない。(支払われた給与は自分のものだが、都度決められる評価はその会社が決めること)
 
これらは一見分かりやすいので動機付け多用されるが、実際利用してみた結果としては、一部のメンバーが一時頑張るだけで”動機としての継続性が無く、積みあがっていかない”ものであり、中長期的に見て逆効果になる方が多いと思う。
 
手に入らずにモチベーションを落とすくらいならまだいいが、ひどい場合は「競合会社の方が給料がいいんで」、「あの会社にいけば役職が上がるんで」という理由から退職していく。
 
ではどんな要素で動機付けをしてくべきなのか?
 

動機付けに利用するべき要素・・・モチベーション

 

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イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

 

※今回の記事のテーマについて、筆者が参考にした書籍です。「仕事における人生の幸せとは」という大きなテーマから、インセンティブとモチベーションの違いについて触れられており、フレームワークを構築する上でベースとなった良書です。 

 

  • 社会的貢献
  • 興味の追求・自己実現
  • 自己成長
 
これらには正解・不正解は存在せず、それがまた難しさでもある。
それまでの学校教育においては、テスト(点数)という方法で、唯一無二の正解にいかにたどり着けるかが評価になる。つまり「解」は常に自分の外で誰かが定義してくれているものであり、自分自信で作り出すことに慣れていない。
 
上に掲げた3つはどれも正解が存在しない。つまりは人に聞いても自分の答えを見つけることはできない。
 
ex)
・社会的貢献•••社会において自分はどんな役目を担うのか?
・興味追求・自己実現•••何をしたいのか?
・自己成長•••どう成りたい(在りたい)のか?
 
これらに自分自身の答えを出すことのメリットは、周りに左右されずに自分の目標を目指していけるということだ。金銭の有無や社会的ステータスを他人との比較し一喜一憂することがない。一見、人と比較しなくなると、ライバルと競い合って自分を高めることがなくなってしまうように思うかもしれないが、人との比較による成長は一時的だ。負ければやる気を失うし、勝っても目標を見失う。何度か繰り返すうちに「この競争を繰り返して何の意味があるんだっけ?」と我に返る。つまりは継続性がないというのが筆者の意見だ。
 

・モチベーションの効果

冒頭で触れた、それまで目立たなかった部下が突然成果を出したときの話をする。
Webマーケティングのサービスを営業する彼女は、それまではノルマを達成するために頑張っていたが、ある時自分達の提供しているサービスが、その市場でいかに大切なものなのかを実感する機会があった。同じサービスを扱っている競合他社は、高い料金の割にはクライアントに満足させることも、クライアントの成果を向上させることもできていなかった。それに比べて自社のサービスを利用するクライアントの満足度は高かった。それを知った彼女は、「自分がいままで以上に契約を取ることで、世の中のWebマーケティングに困っている企業が正しい選択(自社のサービスを契約する)することができる」という新しいモチベーションを見つけることができた。
 
これにより、それまでの営業の「ノルマを達成する」という役目が、「Webマーケティングに困っている企業をベストなサービスへの導く」というモチベーション(動機)にかわった。
 
自分の存在理由が明確になった彼女は、その後部署を移動するまでの期間、毎月のノルマを全て達成し、部署が変わってからも、それまでの記録を塗り替えるような目覚ましいパフォーマンスを発揮していた。
 

・モチベーションは10人10色

上記のようなモチベーションは彼女固有のものであり、同じ理由で他の部下の動機形成ができるわけではない。マネジメントにおいてはこの10人10色の「モチベーション」を見つける手伝いをしてあげる必要がある。
 
このモチベーションは社員証のように同じタイミングで全ての部下に配ることはできない。若くしてすでに「解」を持っている人もいれば、見つけようと取り組んで1年たっても見つからない人もいる。
 
マネージャーの役目としては、「解」を見つけることを啓蒙し、少しでも早く見つけられるようサポートし、「解」を見つけたメンバーが最も活かされるようミッションを与えることが、モチベーションによりパフォーマンスを発揮させると同時に、部下を幸せにすることになるのだと思う。そしてまた、マネージャー自信が自分自信のモチベーションを見つけ、健全な動機を持つことも重要になる。
 
 
 

まとめ

結論だけ見れば、一見きれいごとを並べたようみ見えるかもしれないが、ここで伝えたいのは筆者自身がインセンティブを動機にしていた時期があったこと。そして動機がモチベーションに変わってからの方が実際のパフォーマンスが上がったこと。また本当にただのきれいごとなのかどうなのかを、実際にマネジメントで何度もテストしてみた結果、モチベーションをベースとした動機付けの方が物理的にメリットが大きかったということを伝えたい。
 
また、インセンティブを完全に排除しろと言っているのではない。収入を得るのは生きて行く上で最も重要であることは明白だが、「インセンティブが他のどの要素よりも優先されている状態」が問題だと思う。全ての意思や判断を損得勘定で行い、すでに十分な評価を得ているにもかかわらず、さらにそれを求めるときには結果的によいパフォーマンスを発揮しないというのが筆者の意見だ。