パルプンテ

何を書くか自分でもわかんないので・・・一旦マネジメントとかマーケティングとか。ネタがあるうちは。

マネージャー必見!メンバー育成のマネジメントフレームワーク その3 〜must編〜

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前々回のおさらい

will・・・やりたい事(理想や夢、自分自身の目標等、)
can・・・できる事(現時点で発揮できる能力・経験等)
must・・・やるべき事(会社から求められている目標、背負っている責任等)
 
これらの3つの要素それぞれを「広げる」または「近づける」ことにより円の重なる部分の面積を広げることで個人のモチベーションが高まる。

 

・must・・・やるべき事(会社から求められている事、背負っている責任等)

社会に出れば、全ての人が常に何らかの責任を背負い、役目の担うことになる。つまり「目標」だ。
 
マネジメントにおいて、これまで説明してきたwill、canはメンバーの中に形成、もしくは発見するものだが、このmustだけは会社が個人に与えるものであり、個人の都合が繁栄される余地は少ない。
現場では、「君の上半期の目標は売上1000万円ね。これは責任としてしっかりやりきるように。」といったように経営上(または事業上)のKPIの数値をそのまま上司が部下に伝達するだけで終わってる場合をよく見かける。
 
このやり方でメンバーが高いコミットメントを発揮して、モチベーション高く目標達成に向かってくれるならそれに越したことはないが、なかなかそうもいかない。
 
高いパフォーマンスを発揮するチームは、「目標の魅力」つまりはその目標を達成することのメリットをセットすることで、目標が「難易度の高いハードル」になるのではなく、「ミッションを通した自己実現」「キャリアへの階段」としてポジティブにとらえている。
 
mustで重要な要素となるのが
  • why・・・その目標の先には何があるのか?その目標に至った背景に何があるのか?
  • what・・・何を目標にするのか?どれくらいやるのか?
の2点だ。

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・why•••その目標の先には何があるのか?その目標に至った背景に何があるのか?

 
これは事業視点でのビジョンのようなものだ。「どんな組織の一員なか」「どんな事業に携わっているのか」ということはメンバー個人のメリットを考えたときにも非常に重要になる。
 
その事業(企業)が社会的な意味を追求して、新しい価値を提供しようとしている、または誰もがサービスを利用するような大きな市場で影響力を持つ企業になることは、それに携わる社員の自尊心を満たせる可能性も高い。またこれにより組織全体で共通の目標を追うことで、意識が統一されて組織としてのパフォーマンスが最大化する。
 
ex)
A、昨年対比で200%の売上を達成して業界NO1になる
B、昨年対比で200%の売上を達成することで、1000万人のユーザーが自社サービスを導入することになり、一部の富裕層だけが利用していたサービスを、一般家庭の方にも気軽に利用してもらえるようになる。
 
定量的には同じ目標なのに、AとBでは大分意味が異なる。
Aはどちらかというと自社メリットのみ。Bはそれを実行することで、自分達がいかに社会全体に有意義な変革をもたらすのかが言語化されている。
 
もう少し打算的に考えても、例えば転職を考えたときに、名の通った企業で管理職として組織を統括していたという経歴を持っていたり、企業規模にかかわらず社会的に注目を浴びるようなプロダクトの開発や、企画に携わった経験があれば、自分自身の社会的な介在価値は高まっていることが分かりやすい。
 
「目標としていかに魅力的か」ということが重要になる。
 

・what•••何を目標にするのか?どれくらいやるのか?

 
その目標を達成する意味や魅力は伝わったとして、具体的に何を目標とするのか?
whatをさらに分解すると
  • 何を・・・指標
  • どれくらい・・・定量的な数値
この2点だ。
 
魅力的な理想(why)が共有され、モチベーションは上がるものの現場レベルでのwhatがフワッとしたままで、何をしたらいいのかが明確でないケースもある。筆者の経験上、「なにをしたらいいか不明確な状況」というのはそれだけで現場の士気が落ちる。方位磁石だけ持たせて迷路を歩かせるのではなく、全力で走れる一本道を用意してあげるのがマネージャーの最も重要な仕事だと思う。
 
・何を
売上、粗利、件数、単価、ROI、PV、UU、納期、対応件数等、といった指標だ。組織や職種によっても異なるが、重要なのは何を追うのかを明確にすると同時に、できるだけ絞り込むことだ。組織によっては一個人に4つ、5つと何個もの指標を追わせている場合がある。現場からすると「結局何やればいいの?」となり、勝手に優先順位を付けて3位以下の目標は覚えてすらいないのがオチだ。
筆者の経験からすると、このような指標の定まらない背景には、経営層が不安を解消するために、またメネジメント層の機能不全により現場にあれもこれもと求めてしまうケースが多い。
 
ex)
「売上を求めると営業はむやみに値引きに走るのではないか?では粗利も目標に入れよう!」
「件数を増やせというと単価の低い顧客が増えるのではないか?では単価も目標に入れよう!」
これらは大体逆効果になる。
 
というか、これらは経営層やマネジメント層の戦略性の無さを露呈しているに過ぎない。
多くを捨ててフォーカスを絞る事が戦略の大前提であり、まさにこれが上位レイヤーの仕事だと思う。もし、自分のマネジメントする組織でいくつもの目標が存在する管理職の方は、一度自分に問うてみたほうがいい。「自分は本当に仕事をしているのか?」
 
・どれくらい
どれくらいやればいいのかを数値に落し込む。これ自体はそこまで難しいことではないが、あまり高すぎる数値を求めると逆効果になることがある。ここで重要なのは「達成可能性」だ。
メンバー自身が「もう少し頑張れば手が届く」と思えるかがとても重要。注意しておきたいのは組織としての目標設定を、現場の感覚に任せてしまえと言っているのではない。
もし、200%、300%という非常に高い目標を設定するのであれば、それに見合う手段を合わせて提示しなければいけない。つまり戦術だ。高い目標にはそれを実現するための戦術をセットして、「確かに、そのやり方ならいけるかもしれない」という、やはり「達成可能性」を感じさせることが重要となる。
 

▼まとめ

・mustを大きく二つに分解すると、whyとwhat。

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whyはマクロ視点で”意味”を提供する。つまりはwill(やりたい事、有りたい姿)と接続する可能性が高い部分だ。willの回では、「明確かつ本気のwillを持ち合わせていない場合がある」ということに触れた。だとすればなおさら魅力的なwhyを通してメンバーのwillを形成してあげることができれば、その時点でwillとmustの円を重ねることができる。
 
whatはそれに取り組む過程で能力が高まる。つまりcan(できる事)の向上とリンクする可能性が高い部分だ。高い目標と新しい戦術を掲げ、それに取り組むことでメンバーは必然的にcanの円を広げていくことになる。mustによりcanが広がり、canが広がることでmust(目標)の達成可能性が高まるという相乗効果だ。
 
通期、半期、四半期と、企業にはmustを設定する機会は多い。世のマネジメント層はこの機会に改めて事業の意義を見つめ直し、より一層「目標」を突き詰めてみてはいかがだろうか。