パルプンテ

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マネージャー必見!メンバー育成のマネジメントフレームワーク その2 〜can編〜

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前回のwill編に続いて今回はcanの要素を分解し、どのようなマネジメントで「can=できる事」を最大化するかについて触れていく。
 
 

前回のおさらい

will・・・やりたい事(理想や夢、自分自身の目標等、)
can・・・できる事(現時点で発揮できる能力・経験等)
must・・・やるべき事(会社から求められている目標、背負っている責任等)
 
これらの3つの要素それぞれを「広げる」または「近づける」ことにより円の重なる部分の面積を広げることで個人のモチベーションが高まる。
 
 

can・・・できる事(現時点で発揮できる能力・経験等)

誰にでも得意なことはあるが、ここで問題なのは「仕事においての優位性」だ。
当然ながら新卒はこのcanの円が小さい状態でアサインされる。
また中堅社員でも部署移動等の環境変化で、それまでのcanが通用しなくなることがある。
 
では置かれた環境においてこのcanの円を大きくしてあげるにはどうしたらよいのか?
筆者の経験から以下の3つの観点でのマネジメントをお勧めする
  • 優先順位
  • 資産
  • プロセス

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正に上記の図のようにこの3つの軸によって円を大きく広げていくイメージだ。 
では順に説明してく。
 
 

▪️優先順位

仕事(タスク)の重要性の序列をいかに最適化できるか。
これは非常に難しい。時と場合によって、また他の業務やプロジェクトの動きによっては時間単位でその序列が変わる。筆者の経験からだと、常に正解を指示してくれるフレームワークは存在せず、失敗しながら体で覚えるしかない。
 
では、これをマネジメントでどのように最適化するのか?
端的に言うと「正す」「代行する」のどちらかを意識的に使い分ける事だと思う。
  
ex)
「代行する」•••やるべきタスクを洗い出させて、優先順位はこちらで設計し、その通りに実行させる。
 
「正す」•••その日1日のタスク計画を確認し、間違った優先順位になっていれば「何故違うのか」を説明して修正させる。
 
「代行」の目的は、まずはマネージャーが決めた優先順位(最適解)で動いてもらい、体験してもらうことで生産性を担保しながら正に体で学んでもらう(新卒等、ローキャリア向け)。
 
「正す」には、まずは自分でやらせてみて、自分(メンバー)とマネージャーとの優先順位のギャップをあえて見せることにより、どこで、どんな理由で間違えているのかを理解してもらうという意図がある。後に応用できるようにするのが狙いだ(中堅向け)。
 
これらを継続することで、優先順位に対する判断力の工場にレバレッジを効かせることができる。
また、優先順位の序列においては、その企業の理念や行動指針が反映されることもあり、企業文化をインストールする上でも有効である。
  
 

▪️資産

ここで言う資産とは、「一度保有したら失わないもの」「意識的に純増させることが可能なもの」を指す。つまり時間はかかるかもしれないが、確実に積み上がるものだ。
 
例えば、業界知識や商品知識、専門知識等は一度覚えればどれだけアウトプットしても、基本的に無くなることや減ることはないし、学習すれば比例して増えていく。
また人脈など、その人固有のリソースも筆者は「資産」にカテゴライズしている。
 
ここではマネジメントとしてどのようなアプローチで資産を形成していくのか?
「伸ばす」「広げる」「補う」の3つがあげられる。
 
「伸ばす」•••既に持っている資産をさらに強化することを指す。
例えば不動産賃貸について詳しいメンバーに不動産売買についての知識も身に着けさせることで「不動産」という領域に関する知的資産を増やす。
 
「広げる」•••既にある資産とシナジー効果が期待できる他の資産を強化することを指す。
例えばシステムエンジニアリングの知識があるメンバーにマーケティングの知識を身に着けさせる事でデジタルマーケティングのプロフェッショナルを育成する。
 
「補う•••不足している資産を本人が補ってる時間が無い場合に、他の誰か必要な資産を提供することを指す。
例えば金融系のクライアントと商談する最に、マネージャー自身が一緒に同行し、部下が対応できない金融知識を補う。
 
資産を強化する上では、そのメンバーがどんなフェーズなのか、また得意不得意といった
個性を考慮する必要がある。
 
「補う」は、特に新卒等ローキャリアのメンバーに提供するサポートだ。
「伸ばす」は、ローからミドルキャリアフェーズにいるメンバーに対して、他者と比較しても優位性となるような専門領域を確立できるよう導くことだ。
重要なのは、自社の事業で活用できるであろう部分を伸ばしてあげることだ。
「広げる」は、次のキャリアを見据えることと、今ある資産との相性が大切になる。
掛け合わせることで、足し算ではなく、指数関数的にそのメンバーの存在価値が高まる領域を提案してあげると同時に、環境を提供することだ。
 
 

▪️プロセス

仮に、やるべき業務における資産を充分に有しており、優先順位も間違っていなのに立ち止まるメンバーを見かけることがある。原因を探るとプロセスに問題があるケースが多い。
  
ここで言うプロセスは「手順」や「手法」を指す。 
 
 例えば、社内プロジェクトを進める際にステークホルダーへのネゴをせずにいきなり決定事項を共有することで、利害関係者の気分を害してしまい、それが抵抗勢力となってプロジェクト自体が頓挫してしまうケース。これは手順が間違っている。
いかに会社の方針であろうと、物事を進めるためには現場レベルでの合意形成は必須だ。
 
また、毎回同じような提案をしているのに、毎回ゼロから提案書を作って工数過多になっている営業メンバー。
繰り返される業務においては、テンプレートを作成するという手法を教えてあげたくなる。
 
筆者はこの課題に対しては「仕組化」と「インストール」で対応してきた。
 
「仕組化」•••よくあるケースを対象に手順や手法のルールを決めてしまい、それを守らせる。
例えば商品開発のプロジェクトであれば、コンセプト段階、開発段階、リリース前段階で営業部に対してどんなプロダクトを創っているのかを共有しながら進めるとリリース後の拡販スピードが上がる。
また開発段階で営業視点でのフィードバックをもらえることでリリース直後のエラー対応が小さくて済む。
 
「インストール」•••コアとなる考え方を教えて自分で仕組を創らせる。仕組化はどちらかというと
”ルールで拘束する”といった側面を持つのに対して、インストールはそれを自分で作らせる。重要なのは、実際に業務に着手する前に、どんなプロセスで進めるのかを必ずアウトプットさせるということだ。
 
既にお気づきだと思うが、「仕組化」は新卒等初期段階のフェーズのメンバーに対して、インストールは中堅メンバーや中間管理職の部下に対してのマネジメントとなる。
 
注意点としては、インストールの段階で、仕組の作り方だけ教えてアクトプットを確認しないでいるとエライことになる場合がある。
やっと仕組(ルール)に縛られなくなった解放感から、雑なプロセスで感覚的に仕事をしてしまう。
場合によってはマネジメントにおいて、「部下の自主性を尊重する」という理想を掲げて、プロセスを強化することを完全に無視し始める。
 
必ずアウトプットさせて、甘い部分は徹底的につぶすことがインストールにおいてはとても重要になる。
 

まとめ

「できる事を増やす」というと、とにかく勉強をしたり、資格を取るといった発想になるケースが多いように思える。決して無駄ではないが、おそらくそれだけではcanをスピーディーに拡大していくことはできないというのが筆者の意見だ。
実際のビジネスや仕事はもっと複雑にできており、流動的だ。
 
また、canにおける成長は、個人の努力によって自己成長していくものという考え方のマネージャーも少なくないように感じる。
 
その背景には、「できる事を増やす=勉強=会社ではなく自分の時間を使ってやるもの」という前提があるように思える。
せっかく人の成長に携われるのであれば、より多くを自責にして何ができるのかを突き詰めることでマネージャー自身も成長できるはず。